院長の小話

2012年02月20日no.66 結膜炎について(その5)「はやり目(2)」

 前回の小話ではやり目についての大まかな説明と症状について書きました。今回ははやり目の診断と治療、そして特徴についてお伝えしようと思います。

1.診断・治療

 結膜の状態を観察して診断を行いますが、初期の段階では、他の結膜炎との区別が難しいこともあります。アデノウイルスの有無を調べる検査キットがあり、まぶたの裏側を綿棒でこすり判定します。結果が陽性の場合は、感染確定ですが、陰性でも極初期の場合やウイルス量が少ない場合は陽性にならない場合もありますので、疑わしい場合は、経過観察が必要です。
 アデノウイルスに対する有効な抗ウイルス薬は現在のところありません。したがって、ウイルスの勢いが衰え、勝手に死滅するのを待つことになります。しかしながら、ウイルス感染している場合は、目が弱っていますので、別の細菌に感染しやすくなりますので、これを防ぐために抗生物質の点眼を一般的には行います。さらに炎症が強い場合は炎症を抑えるためにステロイドの点眼薬を使う場合も多いですが、状況によっては処方されない場合もあります。

2.特徴

 特徴は人から人へ感染することと、潜伏期間という感染していても症状が出ない期間があることです。はやり目のうつり方は主として接触感染で、感染した人の涙や眼脂が手を介して色々な物に付着して、他の人がそれを触り、自分の目を触り感染していきます。基本的には、感染している人と一緒にいても感染しません。予防としては、感染者は目を触らないこと、めやになどを拭いたティッシュなどは他の人が触れないように注意して廃棄すること、手を介して広がりますので、手を良く洗うこと、タオル類の共有は避けること、お風呂は最後に入り湯はすぐに捨てること、あまり人ごみへは出かけないことなどが重要です。短期間で爆発的に広がりますので、学生は学校を休まなければならないことになっております。また、人にうつすのみならず、自分の反対の目にもうつりますので(右目から左目など)、目をこすったり、触ったりは、やはり控えるべきです。
 特徴の二つ目は、潜伏期間があることです。潜伏期間とは、感染してから充血などの症状が出る発症までの期間で、はやり目では1週間から2週間といわれております。簡単に説明すると、感染してもすぐに症状が出ないということです。したがって、家族に感染者がいて、その人の症状がおさまり他の家族に症状が出ずに、うつらずに良かったと思っていたら、時間がたってから他の家族が発症してしまうようなことがあります。この場合は既に感染していたということになります。
 さらに、先ほどの症状で書きました、角膜に点状の濁りが残る後遺症が起こることがあります。症状がなくなっても眼科で確認し、必要であれば点眼治療を行います。時には数ヶ月も消えない場合や視力障害が残ることもありますので注意が必要です。

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