院長の小話

2012年06月20日no.70 ドライアイについて(その1)「ドライアイの症状」

 インターネットの普及で、パソコンやスマートフォンの画面を注視する時間が増えるとともに、目の乾きを訴える方が増えている印象です。ドライアイという言葉は、とても一般的ですが、乾き以外にどのような症状があり、検査や治療をどうするか、なかなか知る機会がないと思います。どのような病気も、内容を知ることによって、より良い治療ができたり、不安が減ったりすることが多いと思います。今回から6回にわたって、ドライアイについて、症状、分類、検査、治療、そして、最近のトピックとして、発売間もない新しい点眼薬について説明したいと思います。

ドライアイの症状

 ドライアイは字のごとく、乾燥した眼です。涙液が減って、目が乾いている状態を指します。涙が減ることにより、「目の乾き」を感じます。しかしながら、必ずしも「目の乾き」を訴える患者さんばかりではなく、目が疲れる、目がしょぼしょぼするなど、他の症状を感じていることも多いです。

 代表的な症状を分類して見ましょう。まずは、目の乾き、ゴロゴロ感、しょぼしょぼするなど、これらは涙が減っていることにより直接引き起こされる症状と考えられます。ドライアイの代表的な症状です。

 次に、目の痛み、しみる感じ、光がまぶしい、目が充血する、目がかすむなど、これらは、角膜炎による症状と考えられます。涙の減りがひどくなると、黒目(角膜)に傷がつきます。これを角膜炎といいます。

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無数の黄色の点が傷です、ザラザラです

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このような線状の傷はまれです

よく傷というと線状の切り傷をみなさんイメージしますが、ドライアイの傷は、肌荒れのようなガサガサした状態です。黒目の表面がザラザラになると表現するとわかりやすいかもしれません。肌が乾燥して肌荒れ、目が乾燥してザラザラ角膜(角膜炎)ということです。黒目(角膜)だけではなく白目(結膜)もザラザラになることもあります。

 また、目やにが出たり、かゆくなったりなど、これは結膜炎というまぶたの裏側や白目の炎症が一緒に起きている可能性があります。涙が少なくなって結膜炎が起こりやすくなったり、結膜炎があるので涙の状態が悪くなり、ドライアイの症状が出ている場合もあり、同時に起こっていることはそれ程めずらしいことではない印象です。

 涙があふれる症状は、涙が多いのでドライアイと無関係では、と思いますが、逆に目が乾いていることで風などの刺激を受けやすく、反射的に涙があふれていることもあります。

 最後は、分類不能の疲れやまぶたの重さ、なんとなく不快だ、といった症状です。生理的なバランスが崩れることにより起こったり、上記の症状が組み合わさってそのような症状になるのかもしれません。

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