院長の小話

2015年02月20日no.101 おすすめのコンタクトレンズは?(6)

 コンタクトレンズを初めて装用される方はもちろんですが、長年コンタクトレンズを愛用している方にも、「どのレンズが一番良いのですか」と診察中に聞かれることが多いです。今回は6回目になりますが、逆の視点であまりすすめないレンズについて説明しようと思います。前回まで同様、私の独断と偏見も少し入るかもしれません、その点はご了承ください。

あまりおすすめしないレンズは?

 私があまりおすすめしないレンズは、「長く使えるタイプのソフトレンズ」です。愛用されている方が気分を悪くしたら申し訳ありません。私自身も、約20年前にコンタクトレンズを始めた頃に愛用しておりました。大学生だった6年間は、破損するまで使いながら、何回か交換して使っていました。当時は、消毒は煮沸器を使って行っていました。レンズはかなり高価なもので、なくしたり、破損しないように細心の注意をしていたのを思い出します。

 コンタクトレンズは日進月歩で進化を続けております。現在は、毎日交換するレンズも一般的になり、レンズの性能の向上も目にとって負担を軽くしてくれています。私は、10年前から一日交換タイプのレンズを愛用しております。同じレンズを1年以上も使い続けるのと、1日しか使わないのとでは、目の負担は大きく異なり、装用感やお手入れの差も大きく、一日交換レンズを始めたときはとても衝撃を受けたのを覚えております。こんな便利で安全なレンズがあるのか、と。

 話を戻しますが、なぜ私が「長く使えるタイプのソフトレンズ」をすすめないかというと、このタイプのレンズをしている方の目が往々にして傷んでいることが多いからです。一般的にはこのようなレンズは1年で交換することを推奨しております。しかしながら、残念なことに多くの方が、これ以上の期間を使用していることが日常で、汚れや傷のついたレンズを使い続けていることが多いです。また、定期検査で受診する方が少ないのも問題です。使い捨てのレンズ装用者は、レンズがなくなれば、処方を目的で来院する際に目の状態を確認できます。しかし、長く使えるタイプのレンズを装用している方は、幸か不幸かレンズが長持ちしてしまうと、検査をまったく受けずに数年が経過することもあるようです。目が丈夫な方や、あまりレンズをしないため負担が小さい方もおられますが、多くの方に酸素不足による角膜の変化や、長期にわたることが推測される角膜炎、慢性化したアレルギー性結膜炎を認めることが多い印象です(もちろん、きちんと使われていて、問題のない方もいます)。

 確かに、レンズを推奨期間の1年以上長く使うと、使い捨てレンズと比べるとレンズ代が安くなっていきます。しかしながら、目に負担がかかって、目の状態が悪くなっていることに気が付いてない方を散見するのがとても悲しいです。今となっては、このレンズはリスクに対する意識が高く、細心の注意をしながら装用できる方のためにあるレンズだと思います。コンタクトレンズ上級者向けのレンズと言っても過言ではないと思います。ご自身の目の状態や、レンズの状態にとても敏感に反応ができ、定期検査を忘れずに受け、推奨期間が経過するときちんと購入交換できるかた向けのレンズです。けして、安くて診察を受けなくても使えるレンズと誤解しないでいただきたいと思います。

 学生さんや若くして目の状態が悪い方をみるととても残念な思いになりますので、少し表現が強くなってしまったことはご了承ください。繰り返しになりますが、きちんと使われている方も多くいます。もしご自身が長く使えるタイプのソフトレンズを装用しているのであれば、今一度レンズの状態を確認して古くなっているならためらわずに交換してください。そして、定期検査を3か月以上受けていないようならば、ぜひお近くの眼科を受診してください。よろしくお願いします。

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