院長の小話

2015年04月20日no.103 おすすめのコンタクトレンズは?(7)

 「どのレンズが一番良いのですか」と診察中に聞かれることが多いことからコンタクトレンズ選びに役立つような情報をお伝えしており、今回は7回目になります。私の独断と偏見が少し入っている点は、ご了承ください。

シリコーンハイドロゲルレンズのメリット、デメリットは?

 一般に「シリコンレンズ」と言われているレンズは、シリコーンハイドロゲルを素材に作られたレンズの総称ですが、酸素透過性が高く、乾きにくいレンズという特徴があります。2004年に「O2オプティクス」(院長の小話no.3をご参照ください)というレンズが発売されてから、急速に利用者が増え、今では2週間使い捨て、1か月使い捨てレンズの装用者のうち、ほとんどの方が使用していると言っても過言ではないと思います。診察でも「ワンデータイプまたは、シリコーンタイプを選びましょう」と薦める位、たいへん素晴らしいレンズです。それは、ソフトレンズ共通のデメリットである乾きと酸素透過性が低い問題を解決してくれるからです。

 以前の小話で何度かご紹介しましたが、ソフトレンズが柔らかいのは、水分を含んでいるからです。水は蒸発しますので、レンズ中の水分が蒸発すると涙をレンズが吸い上げてしまい、涙が減り目が乾くのです。また、目(角膜)は空気中から酸素を取り入れていますが、ソフトレンズを載せた状態では、レンズを通して酸素を取り込みます。その取り込む際の運び役がこの水分になるのですが、水の酸素を運べる量には限界があり、O2タイプのハードレンズや何もしていない裸眼状態と比べるととても差がありました。さらに、乾きにくくするためにレンズの水分を減らすと酸素を通しにくくなり、酸素を通すために水分を増やすと乾きやすくなるという関係にあり、ソフトレンズの弱点でした。そこで、素材をまったく別のモノに代えてしまうことでこの問題を解決する方法が開発され、シリコーンレンズが作られ、広がりました。

 良いことが多いレンズですが、注意点もあります。一つは、油汚れがつきやすいことで、特に女性の方は、お化粧が付くとなかなか取れにくいようです。また、二つ目として、レンズの相性によっては黒目の上の方に傷ができやすいことが挙げられますので、充血や痛みなどの症状が出た場合は、レンズの装用を中止して眼科を受診することが大切です。また、症状がなく傷がついていることもありますので、症状がなくても3か月に1度は検査をすると良いと思います。

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