院長の小話

2008年03月24日No.19 コンタクトレンズ診療について

「診察代がずいぶん安いですね」

受付で時々耳にします。2年前の4月より、病気の治療以外で受診しコンタクトレンズの検査のみの場合の検査料が一律料金になりました。つまり、たくさん検査をしても一定額なので、診療内容に比較して安いと感じられる方が増えたのかもしれません。

実は、コンタクトレンズ検査料は2つあります。コンタクトレンズ処方の患者さんが少ない施設と多い施設で患者さんからいただく検査料に2倍の差があります。通常では、専門に特化した施設には同疾患の多くの患者さんが来院し、技術や知識が蓄積されますのでそれだけ質の高い医療が提供できます。したがって高い診療費が設定されますが、コンタクトレンズ検査料に関してはまったく逆で、処方が多い施設の検査料を低くすることになっております。これは、一説には医療費削減政策の元、患者さんが多い施設は削減に耐えられるからこのような設定になったと噂されておりますが、真偽はわかりません。

いずれにしても、当院はコンタクトレンズ処方の患者さんが多い施設ですので、低いほう(安い方)の検査料です。実際、患者さんには負担が小さくなったと喜んでいただけ、一人当たりの来院回数は明らかに増加しており、疾病の早期発見に貢献していると思います。来月から、さらにこの検査料の差が約4倍程度に開きます(10割で560円56点と2000円200点)。私の知り合いの開業医の先生は「国の決まりで200点の方で請求しなければいけない、患者さんの負担が大きくなるので心苦しい」と言っていました。それに見合った診療内容の充実を考えていると言っていました。

しかしながら、コンタクトレンズの診療をやめる施設や検査を少なくして効率を良くする施設が日本国内を見ると増えてきていると聞いております。そこには採算性の問題があるようですが、目の健康を考えた場合、コンタクトレンズによる障害の早期発見は当然のこととして、検診的な側面からの緑内障の発見などを考えると十分な検査が必要なのは言うまでもありません。

当院では、4月以降も検査料の変化はありません(厳密にはコンタクトレンズ初めての方の検査料が10割で1930円から560円に安くなります)。診察内容も現在までと同じように、視力検査、前眼部(目の表面)はもちろんのこと、眼圧、眼底検査、屈折検査、場合によっては傷や涙の状態を見る染色検査も行います。

眼圧は空気を当てる検査で、目の硬さを測ります。眼圧が上昇する今までの緑内障の発見が目的です。眼底検査は、主に視神経乳頭という神経の束を見て眼圧が上がらないタイプの正常眼圧緑内障の有無を判断します。実際に、慢性的な眼圧の上昇や正常眼圧緑内障の初期は、自覚症状がありませんので、たまたま見つかる方がほとんどです。

屈折検査は、現在のめがねやコンタクトレンズの度数が強い状態(過矯正)になっていないかを確認します。弱い度数は見にくいのでわかりますが、強い度数は症状がなかったりなんとなく疲れやすいなど症状があいまいで発見しにくいですが、検査によりはっきりします。長年、強い度数が続くと、強い度数でないと視力がでません。そういう場合は、少しずつ正常化させるために段階的に度数を調整していきます。

さらにコンタクトレンズ診療について、当院では患者さんとの問診や説明を大切にしております。例えば、レンズについて診察の時に私に遠慮なく聞いてください。レンズは同じソフトの使い捨てでも、色々特徴があります。一般的な酸素透過性や含水率といって水を含む割合と、素材の電気的な性質によるグループ分類、大きさや厚み、ベースカーブなどの形、周辺部の形状、色々な特徴があります。レンズ特有の障害もありますので、出やすい症状、注意しなければいけない症状があります。もちろん、わかりやすい言葉や例えを使って説明させていただきます。

さらに、日々の診療の中で患者さんにレンズの感想を聞いております。例えば、今現在シリコーンハイドロゲルレンズをしている人の感想や、レンズを変えた人の感想(例えば2ウィークアキュビューからメダリストプラスへ)など、私が実際に聞いた感想をまとめて、患者さんに伝えることができます。もちろん、個人差がありますので、必ずしもそうなるとは言えませんが、大方同じような結果になることが多いと思います。

コンタクトレンズについて情報が氾濫しておりますので私も多方面から日々情報を収集しております。

勉強熱心な患者さんも多く、診療中に色々質問をいただきます。最近の日々の会話の中から・・・

「1ヶ月使い捨てのレンズは目にとって負担が大きいのですか?」

単純にまったく同じ性能のレンズを2週間と1ヶ月使用で比較した場合、短いほうが汚れの点でもレンズの劣化の点でも当然負担が小さいです。しかし、2週間のイオン性のレンズと1ヶ月の非イオン性のレンズを比べた場合、またシリコーンハイドロゲルの1ヶ月使い捨てのレンズを比較した場合は一概には言えません。患者さんの目の状態、使い方、使用環境によって回答は複雑に変わると思います。○○さんの眼の状態は・・・ですので・・・・・。

「ソフトの1年とか長く使えるレンズは良くないと聞きましたが、実際はどうなんですか?」

確かに汚れの点ではあまりにも長期に渡って使うのはすすめられないですが、例えば特殊な乱視がある人には視力矯正の点では種類の多い長く使えるタイプを選ばざるを得ない場合もありますので、使い方と定期検査をしながらであれば、見にくい使い捨てよりは良い選択に変わります。

「知人にワンデーが最高のレンズだからと強くすすめられたのですが、本当ですか?」

毎日新品ですから清潔を保つ意味では最高ですし、実際病気の発生頻度は最も少ないです。患者さんの感想も良い方が多いです。そういう意味では目にとって最高のレンズだと思います。しかし、二つ欠点があります。一つは多くの人の目にあわせる必要があり(枚数が多いので極限までコストを下げておりますのでベースカーブといって形の種類が少ないです)やわらかくするためレンズの水分が多く、乾きやすい特徴があります。もう一つ最大の欠点は枚数が多いので価格が高いです。ですので、目にとっては最高でも経済的にはもっとも厳しいレンズです。毎日しなくてもよければ、少しずつ使うことでコストを抑えることも可能です。他のレンズと併用して、花粉症の時期や、調子の悪いとき、旅行の時に使うことも可能です。

目の健康、快適なコンタクトレンズ装用、少しでも皆様のお役に立ちたいと日々考えて診療しております。

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