院長の小話

2009年03月21日No.31 中近・近近、色々なキャリアグラス(遠近両用めがね)について

遠近:青い部分が見える範囲。 遠くも見えるが、手元が狭い


近近:青い部分が見える範囲。 遠くは見えないが、手元が広い

前回の小話で、キャリアグラス(遠近両用めがね)について書きましたが、一般的な遠近両用めがねは遠くと近く(手元)の両方を見ることができるたいへん便利なめがねです。しかしながら、上半分は遠く用、下半分は近く用になっておりますが、レンズの設計上、近く用の見える範囲が小さい問題があります。前回の小話で説明しましたが、おおよそ手のひらぐらいの範囲しか見えませんので、手元の広い範囲を見ながらする作業の場合は、その都度顔を動かす必要があります。よく聞く声として

「遠近両用は日常では便利だけど、職場でのデスクワークの時に近くの視野が狭くて不便だなぁ」
「料理の際に、まな板や包丁を使うときに視界がせまくて見にくい・・・」

また、手元をみる時にはあごを上げながらレンズの下のほうで見るという不自然さもあります。さらに、度数が変化する部分は、顔の動きで違和感のある見え方をします。これらは、二つの度数の差が原因です。つまり、「遠」と「近」の度数の差です。

では、度数の差を小さくするとどうなるかというと、見える範囲のうち奥行きは狭くなりますが、見える範囲の広さ(視野)は広くなります。言葉にすると説明しにくいですが、図のようになります。視野を広げたレンズや、パソコンなどの用途に合わせて設計されたレンズを説明したいと思います。

中近めがね

遠近の「遠」を「中」距離用にしたのが中近レンズです。中距離とは、主に室内を想定しております。自分の周辺3-5m位の範囲でしょうか。遠近との違いは、手元の見やすい範囲が広いことで、デスクワークやお料理などには適しております。しかし、遠くが見づらくなりますので、あまり広いオフィスを見渡す場合や外出する際はかけかえなければいけません。室内での作業がメインの主婦の方に、適しためがねだと思います。

近近めがね

近くの広い範囲を見えるようにしたのが近近レンズです。通常の近く用のめがね(老眼鏡)は、近くのよく見える距離が固定されます。奥行きがないので、例えば読書などをする時は、見やすい距離に前後して調節しなければいけません。

一般的な近近レンズは、読書の距離(30cm)からパソコンのモニターの距離(40ー50cm)の範囲を見えるようにしたレンズです。度数の差が少ない分、広い範囲(視野)をみることができます。

遠近:遠くも見えるが、手元が狭い

近用単焦点(老眼鏡):手元の一部分が見やすい

近近(パソコン用):手元の広い範囲が見やすい


パソコン用めがね

REMARK

近近レンズに似たレンズで、主にパソコン用に開発されたレンズもあります。
ペンタックス社のPCway(ピーシーウェイ)というレンズは、レンズの中心はパソコンの画面を全面にわたって、そしてクリアに見えるようにしてあり、さらに上の方は3、4m先の遠くを、下の方は手元の書類などを見やすいように作られております。

また、ホヤ社のREMARK(リマーク)というレンズは、左右の目の視線を考え、近くを見るときも目の負担を軽くするレンズです。一般的な遠近レンズとは違い、下方にファンクショナルエリアと呼ばれる部分があり、見るものの距離に応じた快適な視界が得られるように設計されており、パソコンを長時間使用する人や、初期の老視の方によいといわれております。このレンズ、10代の学生用にも設計されたものもあり、黒板と手元のノートを交互に見る際に、目の負担を軽減する効果が期待されております。眼精疲労の予防に効果があるかもしれません。

>REMARK

遠近両用コンタクトレンズ

めがねと同じように視線の移動が必要なタイプ(交替視型)と、視線の移動が不要なタイプ(同時視型)があります。次回の小話で詳しく説明します。

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