院長の小話

2010年01月20日No.41 ハードレンズからソフトレンズへ(利点)

前回の小話でハードレンズからソフトレンズへ変更する方の理由を書きました。
今回は、実際に変更することでの良い点について書こうと思います。

「使い捨てのメリット」

1日使い捨てレンズ
(通称:ワンデー)

ハードレンズには使い捨てレンズがありません。2年程度使用すると汚れの蓄積や、レンズの変形、そしてコーティングはがれや表面の傷等の劣化が問題になります。ソフトレンズの利点の一つは使い捨てレンズがあることだと思います。最も理想に近い1日使い捨てレンズは1日しか使いませんので、レンズの汚れや劣化が問題になりません。2週間や1ヶ月のレンズも、目の状態やケアの問題で汚れる場合もありますが、年単位で使うレンズに比べると問題の程度はとても限られます。

レンズの汚れが少ないと、アレルギー性結膜炎になりにくいです。そもそもアレルギーは、汚れのような自己の体以外の異物(アレルゲン)に反応して起こりますので、汚れが少ないことは予防や悪化を防ぐことにつながります。コンタクトレンズ自体も異物ですので、完全にはなくならないですが、1日使い捨てソフトレンズがアレルギー性結膜炎に最もよいのは間違いないことだと思います。

また、汚れや傷は、角膜炎(黒目の傷)の原因になりますし、涙の状態を悪くし、乾きもひき起こします。後述しますが、ハードレンズのドライアイに対するメリットもありますが、最近は乾きにくいソフトレンズもあります。


「充血、角膜炎への効果」

ソフトレンズの角膜炎:レンズの汚れや目との相性が悪いと傷が出ます

ハードレンズの角膜炎:時計の3時と9時の場所に傷が出ます

ハードレンズ特有の充血や角膜炎(黒目の傷)は、黒目の横に起こります。これは、ハードレンズに限り起こる現象ですので、ソフトレンズにすると理論上は良くなるはずです。もちろん、充血が長きに渡っており、その場所の血管の状態や炎症が起こっている場合はなかなか良くならないこともあります。しかしながら、原因がなくなりますので、時間がかかっても改善は期待できます。


「装用感が良くなる」

ソフトレンズは柔らかいレンズですので、多くの方は装用感が良くなったと喜ばれます。ほとんどしている感じがありません。レンズも動きませんので、まばたきによる変化もなくなります。ただし、乾いて張り付く感じが出る場合もありますので、乾きには注意が必要です。さらに、砂ぼこりなどが目に入って痛くなることがなくなります。ハードレンズはゴミが入ると激痛が起こります。これによりゴミに気がつくことができるメリットもありますが、グラウンドやほこりっぽい場所には不向きです。ソフトレンズはよほどではない限り、砂ぼこりの影響は受けにくいと思います。

「落としにくくなる」

ソフトレンズは黒目よりも大きく、常に上下のまぶたに抑えられておりますので、こすったりしない限り落ちることはありません。激しい運動にも適したレンズといえるでしょう。私は15年以上ソフトレンズをしていますが、している時に落とした記憶はありません。もちろん、洗浄の時に洗面台で流してしまったり、つけはずしの際に落とした記憶はたくさんあります。これはハードレンズでも同じだと思います。ソフトレンズでも極端に乾きが強い場合や、炎症が起きている場合は外れやすいかもしれませんが、稀だと思います。

「旅行や時々使う場合の利点」

1日使い捨てレンズはお手入れ不要です

ソフトレンズの中でも、特に1日使い捨てのレンズは旅行に適していると思います。まず、洗浄が不要ですので洗浄液を運ばなくてもよくなります。日数分のレンズ+数枚の予備のレンズだけを持ち運べばよく、また疲れた旅先でレンズの洗浄が不要であることのメリットも大きいと思います。レンズの調子が悪くても、予備を使えばよく、紛失したり、破損した場合の心配がなくなります。


ハードレンズからソフトレンズに変更する際の利点を紹介しましたが、問題点もあります。次の小話では問題点について書きます。

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