院長の小話

2010年07月21日No.47 白内障について その3 手術治療

前回の小話で白内障の点眼治療についてお伝えしましたが、やはり一番確実なのは手術治療です。

まずは、いつ手術に踏み切るか、その基準についてです。

手術を行うタイミング

いつ手術をしたらいいですか?との質問に、「患者さんが手術を望む時が、最適な手術時期ですよ」とお答えしております。例えば視力がいくら以下になったらとか、どの程度濁ったらという基準ではなかなか決められません。それは、その方の生活様式、年齢、職業、進行具合が様々だからです。

例えば、職業で車の運転が必要な場合は、0.6以下になると免許の更新が難しくなりますし、安全性を確保するためには手術を考えた方がよいと思います。逆に0.3程度の視力でも日常生活に不自由がない場合は無理に進めません。あるいは、0.5程度の視力でも、数十年にわたり見え方が変わらず進行がほぼない場合も急いで手術に踏み切る必要がないかもしれません。

患者さんが手術を望む時とは、何かしら困っている時です。手術して困る状況を解決したい時です。もちろん、そのような動機がある場合には、視力が下がっていたり、濁りが強く出ている場合も多いです。困る時を具体的に挙げると

  • 運転免許の更新ができなかった
  • 離れた人の顔がわからない
  • 読書が疲れる
  • テレビの小さな字がわからない
  • めがねを作りなおそうとしたら、視力がでないといわれた
  • 天気のよい日にはまぶしくて困る
  • 老眼鏡をかけていても、新聞が見にくい

以上のようなことを感じる時は、手術を考えるタイミングかもしれません。


白内障の手術について

手術は、濁った水晶体を超音波で砕いて取り出し(超音波水晶体乳化吸引術)、人工のレンズ(眼内レンズ)を入れるという方法が現在の主流です。具体的には、セロファンのような水晶体の前嚢を円形に切開し、その部分から水晶体の皮質と核を砕きながら吸引します。外側の嚢だけを残し、そこへ人工の眼内レンズを入れて終了です。一般的にはこの方法で行いますが、白内障が進行して核が固くなっている場合は、水晶体を丸ごと取り出すこともあります(水晶体嚢外摘出術)。


眼の手術と聞くと、怖いイメージがありますが、麻酔も局所麻酔で行い、手術中も術者と会話ができます。痛みも麻酔でほとんど消すことができます。そもそも傷も数mmととても小さく、手術の時間も30分程度で、非常に体への負担が小さい手術です(低侵襲手術)。成功率もきわめて高く、外科手術の中でも安全な手術の一つに位置づけられています。手術の効果は、患者さんによっては翌日からはっきり見えるようになり、喜ばれる方もいらっしゃいます。もちろん、時間をかけて視力が回復する方もいます。

当院では手術は行っていませんが、手術が必要な方は、日帰り手術をされている医院や公立病院へご紹介させていただいております。

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