院長の小話

2012年01月20日no.65 結膜炎について(その4)「はやり目(1)」

 結膜炎の中で特徴的なものの一つにはやり目があります。今回から2回に分けてはやり目について説明しようと思います。

1.はやり目について

 「結膜炎は人にうつるんですよね?」と診察中に聞かれることがあります。まさにこの「結膜炎」が今回の小話の「はやり目」です。正式には流行性角結膜炎というもので、主にアデノウイルスの感染症です。特徴として、人へうつる結膜炎で、流行することがあるので「はやり目」と呼ばれています。
 先ほどの質問の答えは「結膜炎には色々あり、はやり目と呼ばれている流行性角結膜炎は人にうつりますが、すべての結膜炎がうつるわけではありません。一般的な細菌性の結膜炎やアレルギー性の結膜炎は人にうつりません。」
と答えることになります。
 流行性角結膜炎、長い名前なので以後「はやり目」と呼びますが、学校保健安全法上の学校感染症の一つで、感染すると他の人への感染の恐れがなくなるまで登校禁止となります。児童に限らず、成人の方でも感染した場合は、人ごみへ行くことを避け、可能であれば出勤を控える方が良いと思います。
 以前はプールでうつることが多く夏の流行が多い印象がありましたが、現在は一年中見られることが多いと思います。

2.症状

 充血と多目の眼脂(めやに)が出ます。よく「めやにで目が開きません」と言われる位です。まぶたの腫れや涙が出たり、ゴロゴロ感が出ることもあります。特徴的な症状に耳前リンパ節の腫脹というのがあり、簡単にいうと耳の前辺りの皮膚の下にコリコリとした塊ができ、押すと痛いこともあります。また、通常の細菌性の結膜炎と違い、充血が1週間から2週間と長く続くことと、重症の場合は充血が始まってから1週間目くらいまで少しずつ悪化することが多い印象があります。
 炎症が強い場合は、角膜炎や角膜びらんという黒目に傷ができてしまうことや、角膜に点状の濁りを残す場合があります。それにより、強い痛みが出たり、視力の低下やかすみを感じることもあります。後遺症として角膜に濁りが残った場合は、充血がひいて感染が治まってからも、濁りを消す治療が必要になります。

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