院長の小話

2012年04月20日no.68 結膜炎について(その6)「アレルギー性結膜炎(1)」

 結膜炎についての小話も今回で6回目です。今回から2回にわたって、アレルギー性結膜炎についてお伝えしようと思います。

1.アレルギー性結膜炎について

 「目がかゆい」という場合に最初に思い浮かぶ病気がアレルギー性結膜炎です。アレルギー反応が原因で結膜に炎症が起こり、かゆみや充血、目脂(めやに)、ゴロゴロ感などが出る病気です。
 そもそもアレルギーとは、特定の抗原に対して、免疫反応が過剰に起こることをいいます。なかなか説明が難しいのですが、生物は自分の体を守るために、自分の体以外のものを識別して排除する機能を持っています(免疫)。細菌などの病原菌や体内に入ってしまった異物(花粉やゴミなど)を、これは自分の体(の一部)ではない!と判別して分解したり、体の外へ排除します。実は、この働きは簡単なようでとても難しく、とても奥が深いです。というのは、ヒトも含めた生物は細かく見ていくと細胞の集まりです。病原体も細胞の集まりだったり細胞そのものだったりで、自己とよそ者の見分けというのは、とても難しいことが多いです。時には、適切な反応ではなく過剰に反応してしまうのも、よそ者を見分けることやよそ者に対する対処が難しいことから生じます。
 アレルギーとは、過剰な免疫反応ですが、わかりやすい例は「かぶれ」です。かゆくなったり赤くなったりしますが、それは肥満細胞から放出されたヒスタミンという物質が原因で、免疫反応の一つです。生体を守るために必要な反応の一つなのですが、必要以上にヒスタミンが放出されて、症状が強くなってしまうのです。
 アレルギー性結膜炎はI型アレルギー反応と呼ばれるもので、すぐに症状が起こる即時型の過敏反応による病気と考えられております。

2.原因
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 アレルギー性結膜炎はアレルギー反応による炎症といいましたが、アレルギーが起こるからには、何か原因があり、その原因を特定することが治療や予防にとってとても重要だと思います。その原因物質をアレルゲンといいますが、花粉やハウスダストなどが代表的なものですが、コンタクトレンズの汚れや、コンタクトレンズそのもの、また洗浄液なども原因となります。体質によりますので、ある人には大丈夫だけど、ある人にはとても敏感に反応してしまうという性質のものです。例えば、犬や猫などのペットのいる家に行くだけで目がかゆくなる人がいますが、もちろんまったく大丈夫な人もいます。
 アレルギー性結膜炎はある時期だけ起こる季節性のものと、1年中起こる通年性に分かれます。季節性の代表は、花粉症だと思います。旭川だと、例えば5月になると目がかゆくなる方は、春の花粉症であるシラカバなどが原因として考えられます。夏に症状が出るとカモガヤやイネ科の植物、秋だとヨモギやブタクサの花粉症など、その季節で飛ぶ花粉からある程度原因が特定できます。同時に鼻の症状である、くしゃみ、鼻水などの症状を伴うことが多く、このような症状が毎年同じ時期に起こり、季節が変わるとおさまるようであれば、花粉症が疑われます。
 通年性の代表はハウスダストと呼ばれる、家の中で発生するほこりやダニなどです。特徴は一年中、常に症状が出ることです。他にも、コンタクトレンズをしていることで通年性のアレルギー性結膜炎になることもあります。このような場合は、しばらくコンタクトレンズの装用を中止すると、症状が軽快することでわかります。

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