院長の小話

2013年06月20日no.82 アレルギー性結膜炎について(その3)

 春の花粉症が一段落すると、次は夏の花粉が飛び始めます。旭川では、カモガヤなどのいわゆる雑草が問題になります。どこにでも生えていますので、なかなか離れることは難しいですね。今回の小話は、アレルギー性結膜炎が重症化するとどうなるかについて書こうと思います。

1.アレルギー性結膜炎の重症化

 かゆみや異物感などが症状のアレルギー性結膜炎ですが、おなじみの病気だからか、治療をせずに放置する方を時々みかけます。確かに、症状が軽いと自然に治ってしまうこともありますが、体質的に症状が強く出る方が少なからずいることも確かです。また、かゆみがあるので目をかいてしまい悪化させることもあります。アレルギー性結膜炎が重症化すると、まぶたの裏側にぶつぶつができてきます。乳頭といいますが、最初は小さいもので、点眼治療に反応してコントロールできますが、ひどくなると大きさが大きくなり、さらに悪いことに硬くなります。硬くなると、まぶたの裏側が当たる黒目(角膜)に傷を作り出します。角膜炎と呼ばれる状態です。このような状態になると、目の痛みが出たり、涙が止まらなくなったり、光がまぶしくなります。黒目が削れてしまっている状態で、痛いのは想像できると思います。

 この状態になるとたいへん治療が難しくなります。まず、黒目の傷を治すためには、まぶたの裏側の状態を良くする必要があり、そのためには時間がかかります。また、まぶたの裏側を治療するためにステロイドという薬を使いますが、一般的には免疫を抑制するため、感染に弱くなります。黒目の傷は感染に弱いため、感染予防も同時に必要になります。

2.巨大乳頭結膜炎
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 アレルギー性結膜炎が重症化した時に、巨大乳頭結膜炎になることが多いです。字のごとく、巨大な乳頭が(まぶたの裏に)できる結膜の炎症です。乳頭はまぶたの裏側をよく見ると透明なブツブツ(つぶつぶ)として観察できます。下のまぶたの裏にはあまりなくても、上のまぶたの裏側に多くみられることもあります。この乳頭は、ゴロゴロとした感じの原因になり、ソフトコンタクトレンズを上へずり上げることがあります。レンズが上へずれやすい方は要注意です。ひどくなると先述した角膜炎の原因にもなりますので、早めの治療が大切です。治療は軽い場合は、抗アレルギー薬の点眼を行いますが、ステロイドの点眼を併用することが多いと思います。ステロイドの点眼は、体質によっては眼圧が上がる副作用(ステロイド緑内障)が出ることがありますので、定期的に通院して治療を行います。

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