院長の小話

2014年02月20日no.90 仮性近視について(その1)

 学童期のお子さんの中には、仮性近視(偽近視)の状態で治療によって裸眼視力の改善を得られる場合があります。今回の小話では仮性近視の特徴について説明しようと思います。

1.仮性近視とは

 仮性近視は偽近視、学校近視ともいわれており、近視と同じように遠くが見にくくなる状態です。人間の眼の中にはピントを合わせるための筋肉があり、縮ませることで近くにピントを合わせ、ゆるませることで遠くにピントを合わせることができます。筋肉の特徴として、縮むことはできますが、伸びることはできません。伸びるときは、ばねが戻るがごとく元に戻ろうとする力によります。この点に仮性近視が起こるメカニズムがあります。近くの作業を多くすると、ピントを合わせる筋肉が過度に縮み続けることで緊張して、遠くを見ようとしてもゆるまなくなります。ゆるまないので遠くにピントが合わず、遠くが見にくくなります。この状態が調節緊張、仮性近視という状態です。もし、筋肉が伸びることができれば自由に遠くにピントを合わせることができ、遠くが見にくい状態にならないはずです。

2.近視と仮性近視の違い

 近視との大きな違いは、見にくさに変化が起こることです。裸眼視力が良くなったり悪くなったりします。近視がある場合は遠くの見にくさはほぼ一定です。ピントの合う位置がずれて固定されているからです。それに対して仮性近視は、筋肉の緊張が軽く、ゆるみやすい時は遠くがある程度見やすく、逆に緊張が強いときはなかなか遠くが見えません。

 また、もう一つの大きな違いは、ある程度治療の有効性が確かめられている点です。理屈から、筋肉の緊張をほぐしてあげれば、遠方視力は改善するはずです。軸性近視のように、目の構造が変化してピントの合う位置がずれているのではなく、筋肉がうまく働かなくてピントがずれているだけですので、本来の働きを取り戻すことができれば、状態の改善が期待できます。次回の小話で、治療について詳しく説明しようと思います。

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