院長の小話

2007年04月29日No.8 花粉症と眼病予防

シラカンバ(白樺)

カモガヤ

よもぎ餅


花粉が飛ぶ季節になってまいりました。花粉といえば一般的にはスギ花粉(他にはヒノキやブタクサ)ですが、北海道はスギの影響はたいへん限られており(道南の一部など)旭川で問題になるのは、シラカンバ、イネ、ヨモギでしょうか。

シラカンバ(白樺、シラカバ)は雪解けと共に飛び始め、約1-2ヶ月間がその季節です。シラカンバの注意点は、果物アレルギーの併発です。特にりんごやさくらんぼといった果物を食べると口の中にかゆみがでて口腔アレルギー症候群と呼ばれております。同じカバノキ科にハンノキというのもあります。

イネは正式にはイネ科の植物、カモガヤなどです。夏が中心です。カモガヤはどこにでもある雑草で、アメリカから明治時代に酪農用牧草としてもちこまれたそうです。

ヨモギも正式にはキク科のヨモギ、9月初めから秋の花粉です。ヨモギといえば草もち・よもぎ餅ですが、以外と知られておりませんがお灸のもぐさはヨモギを乾燥させたものです。他にキク科にはブタクサがあります。

春→シラカンバ
夏→イネ
秋→ヨモギ
(あくまでも最も多いものです)
以下のページで旭川の花粉情報がわかります
goo天気花粉情報旭川(1〜5月)
北海道の花粉情報

上のまぶたの裏側です。乳頭というつぶつぶができております。

この時期に、突然、繰り返すようなくしゃみ、鼻水、鼻づまり、そして目の症状としては目のかゆみ、目やにや充血があれば花粉症が疑わしくなります。

目の検査では、眼瞼結膜というまぶたの裏側の状態をみせてもらいます。上のまぶたはひっくり返します。充血の程度や乳頭といってつぶつぶ(ブツブツ)がどの程度できているかを確認します。

治療は目薬による点眼治療を行います。ヒスタミンなどのかゆみや炎症の原因となる物質の放出を抑えたり、作用を抑える薬が抗アレルギー薬です。効果が不十分な場合はステロイドという炎症を強く抑える薬を使います。毎年同じ時期に目がかゆくなる、または花粉症の診断がついている場合は、花粉の飛ぶ2週間前位から、点眼を開始すると症状が軽くすむといわれております。

コンタクトレンズをしている方は、症状の出ている時はしない方がよいです。やむを得ずするのであれば、一日使い捨てのソフトレンズを最低限するのがよいと思います。あと、人工涙液の点眼を頻回にして花粉を流すのも効果的です。点眼液は防腐剤の入っていない使いきりタイプか、ソフトサンティア(防腐剤は影響の少ないホウ酸です)などがよいと思います。

よく聞かれますが、カップ式の目を洗う薬品は、私はあまりおすすめしておりません。目の周りの皮膚の汚れや周りについた花粉をかえって目の中に入れてしまう可能性があるのと、自分の体からでる涙の中の大切な成分が流れてしまうからです。さらに詳しくは書きませんが防腐剤や浸透圧、pHの問題もあります。(ご希望があれば診察の時に詳しくお話します)

上にも書きましたが人工涙液の点眼を多めにすることでほぼ同じ効果が期待できると思います。 もちろん私は目を洗っておりませんし、家族や知人にもすすめません。予防の点でも、人間の体はよくできているもので、何もしない状態がすでに「眼病予防」にもっとも適した状態だと私は信じております。

涙の中の大切な成分

蛋白質(ラクトフェリン・免疫グロブリン・プレアルブミンなど):抗菌作用や、感染防御、ビタミンAの運び役など
酵素やサイトカイン:黒目(角膜)の傷を治したり状態維持の制御に必要
ムチン、油成分:涙を安定させるために必要
涙の表面には涙の水分を蒸発させないための薄い油の層があります。目を洗いすぎるとこの油がなくなり涙の蒸発が早くなり目が乾くようになります。


アフリカ単一起源説によるとヒトの起源は10〜15万年前と言われております。それからの長い進化のおかげで、ヒトの体を構成する部分部分に何一つ無駄はなく、それぞれがたいへん効率的に働いていることにはいつも驚かされます。
生命の神秘ですね!

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