院長の小話

2008年05月20日No.21 こんな時は眼科に行きましょう

眼科へ行ったほうがよいのか迷うことがあると思います。これは、受診した方がよいと思うものを5つ紹介します。

1. 黒い蚊が飛んでいる。糸くずが見える。光が見えた。



これは、飛蚊症(ひぶんしょう)と光視症(こうししょう)です。

「年を取るとだれでもなると聞いたのですが…」

確かに40歳をすぎると、後部硝子体剥離(こうぶしょうしたいはくり)と言って、目の中のゼリーが内側の膜(網膜)からはがれる時に症状が出やすいです。しかし、中には網膜裂孔(もうまくれっこう)と言って網膜に穴があいていたり、目の中で出血をしていることもありますので検査をおすすめします。同様に、若い人にも同じような症状がでます。近視が強い人や、目をぶつけた時に、あるいは何もしていなくても飛蚊症を感じることがあります。

通常は生理的飛蚊症といって、問題のないものが多いですが、中には早めに治療が必要なものもありますので注意が必要です。検査は目薬をさして30分くらい待ってもらい瞳孔を開きます。少しまぶしくなりますが痛みはありません。検査は目の中を見るだけです。検査後6時間くらいまぶしくなりますので車の運転ができなくなりますので準備して眼科を受診しましょう。

2. ゴミが入ったようだ・・・。ゴミが取れたようだがゴロゴロ感が残っている。

まぶたの裏側にまつ毛がささっていました。

目に物が入ることはよくあります。こすらないで洗い流すようにすると良いですが、運悪くまぶたの裏側など取れにくいところに入ってしまうと、まばたきをするたびに痛みが出ます。

ゴミが取れたと思っても、別なゴミが入っていることもありますし、たとえゴミが完全に取れても傷や炎症が起きていてゴロゴロ感が取れないこともあります。よくならないときは、早めに受診しましょう。早いほうが被害が小さくてすみます。

小話11「痛いときはがまんしないで!」も見てくださいね。


3. 鏡をみると黒目に白い点がある。黒い点がある。

コンタクトレンズをしたまま寝てしまった方です。浸潤(しんじゅん)という白い濁りができています。真ん中にできてしまうと視力がかなり低下する後遺症を残す可能性もあります。とても危険ですので、寝るときは必ずコンタクトレンズをはずしましょう。

サンダーによる鉄粉です。

黒目は角膜という厚さ0.5mm位の膜です。白い点ができるときは、コンタクトレンズをして寝てしまったときや古いレンズをしている時に起こりやすいです。角膜浸潤(しんじゅん)といいます。すぐにコンタクトレンズを中止しなければいけません。植物の枝などで目をついたときにも白い点ができることがあります。

黒目の傷や、感染症の可能性がありますので、すぐに治療を開始しなければいけません。黒い点は、鉄を削る職業の方に多く、熱せられた鉄の粉が目に入った時になります。すぐに取り出さないとさびが出て状態がどんどん悪化しますので気がついたらすぐに受診しましょう。

コンタクトレンズをしたまま寝てしまった方です。浸潤(しんじゅん)という白い濁りができています。真ん中にできてしまうと視力がかなり低下する後遺症を残す可能性もあります。とても危険ですので、寝るときは必ずコンタクトレンズをはずしましょう。


4. 糖尿病がある。高血圧がある。コレステロールが高い。

一見、眼科と関係がないように思えますが、目は血管がたいへん多い臓器です。血管に影響が出る病気は、目にも影響がでることが知られています。いずれの病気があっても最初は症状がないことが多いですが、検査で異常が見つかることもありますので、受診をおすすめします。先の1で紹介した散瞳をしますので同じように準備が必要です。

「糖尿病、高血圧」もご覧ください。

5. よく人とぶつかる、頭をぶつける。

黒いところが見えないところです。上側の視野欠損は気がつきにくいです。

単なるおっちょこちょいの場合もありますが、意外と緑内障(りょくないしょう)がかくれていることがあります。緑内障は目の硬さが硬くなり神経が傷み見えないところが出てくる病気です。しかし、慢性のものは痛みなどの症状はないですし、最初は見にくさが出にくい病気ですので、検査でたまたま見つかることが多いです。急に見えなくなるわけではなく、少しずつ気がつかないうちに部分的に見えなくなっていきます。また視界の内側は両目で見ていますので片目の見にくさはたいへん気がつきにくいです。

実際40歳以上の方の5〜6%の方が緑内障だということが研究でわかっております。この結果からかなりの方が自分が緑内障にかかっていることを知らずに無治療ですごしていることが予想されます。緑内障は失明の危険性がある怖い病気と思われている方が多いですが、早期に発見し、早くから治療を受ければ、失明に至らずに視力を保つことができる可能性が高いです。40歳を過ぎたらぜひ検査を受けましょう。

最後に、目について心配なことがあるとき・・・

現在、インターネットなどで病気などの情報がとても簡単に手に入るようになりました。それは良いことですが、情報が多いと自分が本当に必要としている正しい情報を得ることが難しい場合もあります。

間違った情報や自分に当てはまらない情報で不安をもつよりは、眼科を受診して納得の行くまで眼科医に相談することをおすすめします。

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