院長の小話

2012年03月20日no.67 初コンタクトレンズについて

春は出会いと別れの季節ですね。

 4月から進学や就職、転勤で転出される方からご挨拶をいただくことがあります。
「4月から東京の大学へ行きます。高校3年間ありがとうございました。」
当院も開院から6年になりますので、学生さんで初めて来られた方が社会人になったり、結婚されてお子さんを連れてこられる方もいらっしゃいます。時の経過の早さを感じると共に、皆様の目の健康に、ほんの少しですが、かかわらせていただける喜びがあります。

この時期はコンタクトレンズを始めたくて来院される方が多いです
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 部活動で必要であったり、進学や就職にあわせてはじめる方、イメージチェンジのために、着物や踊りなどの趣味のため、理由は様々です。「レンズを目に入れると痛くないのかな、レンズ代はどれくらい、どのレンズが良いのかしら」などいくつかの疑問や不安を持たれて来院される方がほとんどです。
 この中でレンズの種類については、ご家族が使っていたり、ご自分で調べて、希望のレンズがある状態で来られる方もいますが、ほとんどの方は、何もわからない状態で受診されます。それが普通だと思いますし、私もコンタクトレンズを始める時は、同じように何もわからず、当時はまわりにコンタクトレンズをしている人が少なかったので、レンズの実物を見たことがない状態で、不安一杯で眼科を訪ねたのを覚えています。

コンタクトレンズの種類と選び方

 コンタクトレンズにはまず、硬いハードレンズと、やわらかいソフトレンズがあります。そして、ソフトレンズには1年程度使うもの、1ヶ月や2週間で交換するもの、1日で交換するものに分かれます。さらに乱視用のレンズや遠近両用のレンズがあり、分類としてはそれほど多くはありませんが、それぞれの特徴や欠点、使い方などは、レンズにより異なっており、レンズを装用している人でも混乱する場合があります。どのレンズが自分に最も合うのか、という難題を解決することは、安全で快適で、満足度の高いコンタクトレンズ装用には、とても重要なことだと思います。
 当院では問診の中で、コンタクトレンズを始める理由や予定をお聞きし、どのようなレンズが最も適しているかを相談しながら決めていきます。例えば、運動の時に使う方には、ハードレンズよりもソフトレンズの方が適しています。それは、ハードレンズは小さく目の上で動くので、ソフトレンズに比べて落ちやすい欠点があり、砂ぼこりなどで痛みが出やすいからです。

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また、旅行や趣味などの時だけ使うなど、時々しか使わない場合には、1日使ったら捨てるタイプの1日使い捨てレンズ(通称ワンデー)が良いと思います。ワンデーは使う日に新品を開封するので、他の保存するタイプのレンズと比べて清潔が保てる点と、他の使い捨てレンズのように使用期間を気にする必要がない点が有利です。2週間使い捨てレンズは、14日使えるレンズではなく、開封してから14日が経過したら、仮に1度(1日)しか使っていなくても捨てなくてはならないので、時々しか使わない場合は、ワンデーと比べて不経済になることもあります。
 また、目の状態や体質、そして年齢などからもレンズの種類を決めるアドバイスができます。例えば、乱視(角膜乱視)が強い場合は、ハードレンズの方が視力がでやすくクリアな視界が得られることが多いです。これはレンズの硬さが角膜(黒目)のゆがみを取ってくれるからです。アレルギー体質で花粉症やアレルギー性結膜炎がある場合は、交換サイクルが短い1日使い捨てレンズが適しています。レンズが毎日新品ですのでレンズの汚れや劣化による刺激が最も少ないからです。年齢が若い場合は、紛失のリスクやアレルギーの出やすさ、お手入れの簡便さから、やはり1日使い捨てがおすすめです。経験的に最も病気が出にくい、安全なレンズの一つだからという理由もあります。

・・・たいへん簡単でしたが、レンズを選ぶ理由を少しだけ書きました。大切なことは、なぜこのレンズが自分に合うのかという「理由」を理解することだと思います。診察や検査の中で、可能な限りこのような理由を説明して、納得してレンズを選んでいただけるように心がけています。

ご不明な点は、いつでも遠慮なく質問してください。

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