院長の小話

2012年08月20日no.72 ドライアイについて(その3)「ドライアイの検査」

 ドライアイの症状と分類について説明してきました。今回はドライアイの検査についてです。前回の小話でドライアイには涙の量に問題がある場合と、涙の質に問題がある場合があると書きました。代表的な検査をその分類に分けて説明したいと思います。

1.涙の量の検査
1)シルマー、綿糸法
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 涙の量を測る簡便な検査として、Schirmer(シルマー)試験があります。5mm×35mmの短冊状の濾紙を下まぶたの外側1/3のところに置いて、5分間の涙の分泌量を測ります。紙がまぶたの内側に直接触れますので、その刺激で涙が出ますので、刺激による涙と、まぶたに貯まっている涙の合計を測っていることになります。

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 他の検査として、綿の糸を下のまぶたに置いて、まぶたに貯まっている涙の量を計測する綿糸法という検査があります。15秒間で結果がわかります。

2)涙液メニスカス

 眼科医が診察の時に、顕微鏡を使って下のまぶたと目の表面との間に貯まっている涙の状態を確認して、涙の量を推測する方法があります。tear meniscus(涙液メニスカス)と呼ばれ、涙を染色して確認します。角膜や結膜の状態を診察する時に同時に確認でき、簡便に涙の状態を観察できます。

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2.涙の質の検査

 涙の質の検査として、涙液破壊時間breakup time of tear film(BUT)を計測するものがあります。涙を染めて、数回瞬きをしてもらった後に、瞬きを止めてもらいます。目の表面に広がった涙の層が、蒸発で破綻するまでの時間を測ります。これも簡便な検査ですので、診察の合間に行うことが多いです。「目を開けたままにしてください」と言われたら、この検査をしていると思ってください。

3.その他の検査
1)角膜、結膜の状態
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 診察の時に、顕微鏡で、角膜(黒目)の状態や結膜(白目)の状態を確認して、ドライアイの診断を行います。びまん性表層角膜炎と呼ばれる黒目の傷が良く見られますが、角膜のどの部分にどのような程度で傷が発生しているかを確認して、原因や程度を判断します。乾燥して肌が荒れるように、結膜の表面もガサガサに荒れますので、その状態を涙に色をつけて確認します。まぶたのキワの状態やまつ毛の状態、瞬きの回数なども、診断の重要な材料になりますので、色々な部分を確認して、総合的に判断します。

2)問診

 問診はどのような病気でも大切です。ドライアイは、乾きを強く感じている場合はとてもわかりやすいですが、しょぼしょぼする感じや、疲れ、まぶしさなど、他の症状を感じることも少なくありません。また、乾きにまったく気がついていない方も時々みかけます。ドライアイには、体質的な問題で特に原因がないものもありますが、パソコンの作業がとても多い場合や、コンタクトレンズの装用が長いなど、原因のあるドライアイもあります。このようなことは問診から得られる情報です。また、一日のうちで乾く時間帯があったり、季節によって乾く時期があったりすることがわかれば、原因やドライアイの程度を知るヒントになります。

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